影の自我


 先に紹介したペルソナは社会に対応するために人間が用いる「表の顔」といえるものです。しかし、人間は本来、その内側に様々な欲求を持つ生き物であり、自我もそれに沿って生きようとします。その中には、反社会的な欲求も多々あるものです。しかし、それをそのまま表立って実行してしまうと、社会からは「犯罪者」「社会不適合者」として処罰されてしまうため、社会に適応し生きていくために、人はその満たされない強い思いを他の方法で満たそうとするか、無意識の中にしまいこんで忘れようとします。
 
 また、人はその生来の素質や環境的な要因によって自我の傾向、性格にある一種の方向性を作り出します。それが、その人の性格とも言えるものでしょう。しかし、人は一面的な存在ではなく、様々な面を持っている存在なのです。そのため、その人の性格に合わない面は、「自分らしくない」という事で、これも無意識の中に押しやられてしまいます。こういった無意識の中へと押しやられた、様々な満たされなかった強い思い、その人格の別の可能性は、やがて無意識のうちで集まり、様々な負のコンプレックスを形成します。そして、そのコンプレックスに対する抑圧がひどくなると、負のコンプレックスは寄り集まり、表の自我とは別のもうひとつの大きな自我ともいうべき性格、表の自我とは別の隠れた性質を持つ自我を形成します。「影の自我」=シャドウの誕生です。
 
 シャドウという存在は影の存在であるため、基本的にその存在をそれであると、自分の内に直接認識することは出来ません。しかし、それを間接的にでも認識するための簡単な手段があります。もし貴方が普段の生活で嫌な同性(異性ではない)の存在を持っていたら、その人の嫌な面をよく思い浮かべてみてください。例えば、あの人は要領が良くてずるい。あの人は頑固で怒りっぽい。その時に、もう少し自分の心の中をよく観察してみましょう。ただ単純に、貴方はその人のそういった性格を「嫌だけど仕方ないものだな」と冷静に受け止める事が出来るでしょうか?。
 
 もし、その時に感情的なムッとした怒りを感じるのでしたら、そういった相手に思い浮かべてしまうその嫌な面こそ、貴方自身の内に潜む、貴方が気付かないシャドウの性格なのです。
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