「黄金の夜明け」団と、「真紅の薔薇と黄金の十字」団


 現在、西欧神秘伝統の世界では、一口にGD団と呼んでしまう事が多いが、実際は元祖GD団の構成は大きく分けて2つの団に分かれていた。1つ目が一般的によく名前を知られているGD団。2つ目が「真紅の薔薇と黄金の十字(Ruby Rosae et Aurora Cross)」団(以後、RRetAC団と略す)と呼ばれる団体である。
 
 元々、暗号文書によってウェストコットが作ることを思い付いたGD団の姿は、オカルトや魔術に興味を持つ初心者に、段階的に様々なオカルト教義を学習させ、「達人」と呼ばれる段階にまで成長させていこうとする「達人に成る為」のものであったとされている。その為、発足当初のGD団は達人になった団員の組織(第2団)は一応存在していたが、第2団用の秘教教義などは用意されておらず、いわば、「おまけ」的な扱いであったのである。
 
 しかし、GD団発足数年後、団の三首領の一人であるメイザースは、「秘密の首領」と独自に接触を行ったと宣言。その「秘密の首領」から受け取ったとする高度な秘教教義を元に、名ばかりだった達人用の団体を改めて高度な実践魔術を学習・研究させるための、GD団とは独立した団として改造を行ったのだ。
 
 ちなみに西欧では古くから、様々な専門職の集団が存在した。西欧秘教伝統では、古代の神殿などを建築する為の石工集団が、特に有名なところであろう。こういった専門職集団は、一般的にその団体に構成する人員を大きく3つの段階に分ける事が多かった。一番下が「徒弟」と呼ばれる段階。その上に位置するのが「職人」。最上位に位置するのが「親方」である。「徒弟」は、その専門職集団に入団を志願した人物が一番最初に入る段階である。この段階では志願者は上位の人物の指導を受け、建築などの仕事に携わるために必要な知識と技術を磨くことになる。そして、その資格を認められた志願者は「職人」の段階に入る。ここで、その人物は責任を持って実際の仕事を行うことになるのだ。そして、長年の業務の成果とその熟練度、人物性を認められた職人は「親方」として、団体を率いることになる。
 
 上の話の内容で言えば、メイザースはGD団を「徒弟」の段階、RRetAC団を「職人」に位置させたのである。また、これらの性質からGD団は「外陣」、RRetAC団は「内陣」とも呼ばれる。
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